アンテナはただ大きければ良いか

 右の図をご覧ください。衛星からの電波はアンテナ開口面に平面(ごく厳密には球面)で押し寄せて来ます。この電波はアンテナ反射鏡面で反射されて焦点に集束されます。
この時、反射鏡面のあらゆるところで跳ね返った電波が正しく焦点に集まるためには、反射面のどこで跳ね返った電波も焦点までの経路長が同じでなければなりません。

  QPPFQ'P'P'F = 一定経路長

ところが、反射鏡が正しい曲面になっていなかったり、全体が歪んでいたりすると、経路長が同じになりません。

アンテナの原理図

 右の図の上は、赤の経路長と青の経路長とが同じ場合を示します。
それぞれの電波は位相が同じですから加算すると、黒で示すように2倍になっています。
下の図は経路長が違うために、焦点のところの電波の位相が140度ずれた状態を表わしています。それぞれの電波を加算するとむしろ弱くなっていることがわかります。
 120度の位相ずれのとき加算値が1となって、その部分の反射鏡は有っても無くてもよいことになり、それ以上の位相ずれではマイナスとして働きます。
 では、120度位相ずれがおきるディシュの歪みとはどれくらいの値でしょうか。Kuバンド(λ=25mm)では約4.2mm、Cバンド(λ=75mm)では12.5mmに相当します。これ以上歪みの大きい所はむしろ切り取ってしまう方が良いことになります。
 反射鏡は単にお皿の形をしていればそれで良いという物ではなく、正しく回転放物面でなければなりません。
 大型のメッシュアンテナなどでは、12.5mm程度の歪みは簡単に生じます。大きくてもゲインが上がらないとお考えの方は、ディッシュの精度を確認してみる必要があります。

 

電波の加算

正常なアンテナ
正常

歪んでいるアンテナ
歪あり

左上図は、アンテナディッシュの縁を少し離れた所から見通した図です。このように手前の縁と向こう側の縁が一直線に重なっていればデッシュの歪はありません。

しかし、左下図のように縁が重ならない場合は、ディッシュが歪んでいます。デッシュが歪んでいると焦点がぼやけてしまって、ゲインがあがりません。

各方向から見て左上図のように見えるように歪を取っておくことが大切です。


大切なこと
 「 メッシュアンテナ は Kuバンド の反射率が悪いので、ゲインが稼げない」とよく言われますが、反射率が悪くてもいくらかは反射します。決してゼロになったりマイナスになることはありません。しかし、アンテナの反射面に歪みがあるとマイナスになることすら容易に起き得ます。大型メッシュアンテナがKuでゲインを稼げない理由は実はここにあります。
 アンテナを輪切りにしたとき、きれいな円になるような反射面なら良いのですが、こうもり傘のような多角形の反射面をもつアンテナはアンテナの役目を果たしません。
アマチュア無線に使うパラボラアンテナは、使う電波の波長が長いので、平面の鉄板や網を傘状に組み合わせたものでも、特に問題は有りませんが、波長の短い 衛星テレビ には使用できません。
アンテナメーカーでは、網をお椀状にプレス加工(プリフォーム)し、組み合わせたとき綺麗なお椀状になるようにしています。


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